熊本ラーメン 桂花＠新宿

　創業は昭和30年、熊本ラーメンの嚆矢的存在の老舗が東京に進出したのは、約半世紀前の昭和43年のこと。偶然にも私が生まれた年に東京に進出し、さらにその時に生まれたメニューが「太肉麺」であり、さらにはラーメン嫌いだった私がラーメンにはまったきっかけの一杯が、まさに桂花の太肉麺であった。そういう意味でも個人的に思い入れの深い店であり、ラーメンであったりもする。

　喰わず嫌いだった私は、豚骨ラーメンとは臭いものであり、しつこいものであると思っていた。しかし桂花のスープは臭みもなく油分もほとんどなくサラッとした味わいだった。そこに香ばしいマー油が浮いているのも衝撃的だった。そして柔らかく煮込まれた太肉と呼ばれる角煮が私の心と舌を捉えて離さなかった。ザクッとした噛み応えの麺も驚いたし、生のザク切りキャベツなどの具材も自分の中でのラーメンの常識を変えた。

　残念ながら私が最初に食べた渋谷プライムの店はなくなってしまったが、私が今良く行く桂花はこの新宿東口店か渋谷センター街店。間口の狭い細長い店の１階カウンターで、驚くほどに小さな厨房の中で調理されている様を見るのが楽しい。目の前で出来立ての太肉を包丁でカットするのを見るのが楽しい。

熊本ラーメン 桂花 新宿東口駅前店（1955）
東京都新宿区新宿3-25-6
JR線他「新宿」駅より徒歩３分