中華そば 琳久(浜松町)

 浜松町駅から田町方面へ歩いて数分、首都高速を潜った先の路地裏に佇む小さな店。中を覗けば、ストレートカウンターの中に中老の店主が一人。店主は浅草の名店「与ろゐ屋」で腕を磨いた人物。寡黙な佇まいで優しく出迎えてくれる。

 頂いたのは「醤油らーめん」(750円)。豚骨、鶏ガラベースのスープに鰹節と昆布のどっしりとした旨味が加わり、重層的な味わいが広がる。油分はほとんど浮いておらず、しっかりとしたカエシが全体をまとめあげている。浅草開化楼の中細縮れ麺はやや固めの茹で加減で、スパッとキレのある食感が口の中で心地よい。味が染み込んだチャーシュー、仕事が加えられたメンマなど、具材も手抜きなし。三つ葉の香りも優しく香るが、スープとのバランスを考えるとやや弱いか。

 カウンターには私一人、厨房には店主一人。交わした言葉はほとんどない。しかし、この中華そばを通じて間違いなくそこには会話があった。ご主人の想いを存分に受け取って店を出た。

中華そば 琳久(2015)
東京都港区芝1-3-4
JR線「浜松町」駅より徒歩5分

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