中華そば 勝本(水道橋)

 最近オープンした店と老舗との違いは、職人然とした佇まいの人がいるかいないかだと常々思う。一つの仕事をただひたすら続けてきた人の所作やふるまいは、見ているだけで楽しくなる。 この店は2015年にオープンしたばかりの新しい店だが、店に入ってまず目を引いたのが厨房に立つスタッフの凛とした姿だった。

 無駄口を一切せず、常に色々なところに目を配り、きびきびと動く姿が実に清々しい。髪の毛を染めてる人もいないし、皆短く刈っているし。和食店のように緊張感が漂うピシッとした雰囲気。ホールの女性も付かず離れず過不足無しの接客もお見事だ。

 出て来た「中華そば」(730円)の美しさも同様。古くからの東京ラーメンを、今の方法論で再構築したノスタルジックラーメン。煮干しがふわっと香るスープはどこかに日本蕎麦も想起させるようでいて、それでもラーメンらしさをしっかりと残している。浅草開化楼による麺も噛み締めるごとに味が深まる良い麺だ。

 奇をてらうことがなくシンプルかつストレートに美味い。今までに無いものを求めがちなラーメン界ではあるが、今までにあるものを磨くのもまた大事なこと。そんなことを感じさせてくれる一杯に満足。そして十年先も二十年先も変わらずあるであろう、この佇まいにも満足。


中華そば 勝本(2015)
東京都千代田区三崎町2-15-5
JR線「水道橋」駅より徒歩1分、都営線「水道橋」駅より徒歩6分

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